2019年04月26日
「Bistro et vin Cadeau ビストロ エ ヴァン カドゥー」Vol.93
食と器のマリアージュ
“和魂洋才”の逸品を堪能
有田駅より徒歩5分、多くの陶磁器店や窯元が点在し、江戸時代から昭和初期までの町屋がたたずむメインストリート。昔ながらの町並みに突然現れるブルーグレーの洋館に、道行く人は思わず足を止める。昨年9月にオープンした『ビストロ エ ヴァン カドゥー』。フランス語の店名を直訳すると“料理とワインの贈り物”だ。
本格的なフレンチと和食を有田焼の器でワインと共に楽しめるカドゥー。400年の歴史を刻んできた町に、何と初登場となるビストロ。オープンキッチンに立つのはフレンチ担当の山田安隆さんと和食担当の前田亮馬さんの2人。店内は木のぬくもりを活かしたモダンで洗練された非日常空間が広がる。
鹿児島出身の山田さんは、伊万里の有名結婚式場の料理長を務め、全国の支店で研鑽を積んだ後、奥様の実家がある有田町に戻り、2016年、有田焼400周年のプロジェクト「ユージアムアリタ」にシェフとして参加。柿右衛門や今右衛門…、有田を代表する至極の器と料理とのコラボには全国から目と舌が肥えたファンが集い、器の力と料理の可能性を改めて実感したという。その魅力を日常的に表現したいと、元同僚である前田さんを誘い、新店の場所に有田町を選んだ。
魚は隣の富村商店、佐賀牛は玄海町の中山牧場、野菜は西有田の川久保農園、コーヒーは長野・軽井沢の丸山珈琲、そしてワインは山田さんの義理の兄が営む、武雄のワインショップ『イヴローニュ』から取り寄せる。すべての食材に生産者の顔が見えるのもカドゥーの特徴だ。むろん器も同様。
美と巧の技が光るフレンチ、緻密で繊細な和食。有田焼の器が2人のシェフから生み出される創作メニューを引き立てる。世界の一流ワインメーカーの醸造家を呼び、限定ディナーやワイン勉強会も開催。敷居の高さを案じてしまうが、なんとグラスワイン600円。夕方になると近所の老舗豆腐屋のご主人がフラッとカウンターに訪れるような店でもある。
「目指すのは地元の人に愛される店づくり」と語る山田さん。有田商人の目が厳しいのもまた魅力だと言う。「町の人から名前が読めないと言われて、カドゥー=角の店って呼んでと伝えてます」と親しみやすさものぞかせた。
※陶器市期間中、ランチは特別に『ハンバーグランチ』のみご提供予定です!
DATA
■住所 佐賀県西松浦郡有田町本町丙1523-10 MAP
■TEL 080-6403-3580
■営業時間 ランチ11:30~14:00OS/ディナー18:00~22:00OS
■店休日 月曜
■席数 1階テーブル16席、カウンター5席、2階完全個室8席、24席(仕切り可能)
■カード使用 可 ※PayPay使用可
■喫煙 禁煙
■駐車場 10台
■Menu 【ランチ ※各20食限定】佐賀牛ローストビーフ丼(お吸物付き) 1,129円、ローストビーフ丼膳(小鉢2品・サラダ・お吸物付き)1,729円、海鮮丼(お吸物付き)1,037円、海鮮丼膳(小鉢2品・サラダ・お吸物付き)1,367円
※食後のコーヒーまたはほうじ茶+300円、デザート+300円
【ディナー】
コース料理・レジェ3,900円、シュアーヴ5,900円、ウヴェール7,900円、アラカルト800円~
【ドリンク】
グラスワイン600円、ボトル3,000円~ ほか
取材:森泉敦子
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