毎日が再出発！“RESTART”
気まぐれ料理人と明日を夢見て

　FBの紹介欄を見たら、閑静な住宅街にある超不人気店です…とある。しかしクチコミ評価はとっても高い。これは一癖ありそうだ…と向かった佐賀駅と鍋島駅のちょうど中間地点にある『RESTART』。

　2015年11月にオープン。ネイビーのコンテナ風建物の扉を開けると、まるでオモチャ箱をひっくり返したような楽しい空間が広がる。オーナーシェフ…もとい、“気まぐれ料理人”嶋田康範さんの「好き！」が詰まった、まるで少年たちが集う秘密基地のようだ。

　「所ジョージさんの“世田谷ベース”に憧れて。“神園ベース”を作っちゃいまして」と笑う、勝地涼似の嶋田さん。神園は地元。店を開く前は全国を飛び回る、絵に描いたような営業マンだったという。サッカー、ラグビーに明け暮れた学生時代、食べることが大好きで、最大の理解者であるお母様の味を真似ては創作料理を仲間に振舞っていたそう。
　しかしケガに見舞われ、普通に就職するも日々の道は嶋田さんにとって、疑問や不安に満ち溢れたもの。なんとなく転職を繰り返す自分探しの毎日に光が差したきっかけは、やはり料理だった。サラリーマンをしながら友人の飲食店を無償で手伝うことで、純粋に料理の世界への楽しさがよみがえってきた。趣味かな、と思っていた心に火がついた。

　カフェでもレストランでもない。毎朝、自分で食材を仕入れに出かけて、メニューを考える。定番メニューに加え、毎日気が向くままつくる、その名も“気まぐれセット”もある。
　そのメニュー数の多さに驚くが、日常的な食材を使った、オシャレなネーミングのアレンジメニューが並び、女性客が多いというのもうなずける。『RESTART』の人気メニューのカレーは桃などフルーツを加え、数々の市販ルーと共にコトコト煮て、ウナギのタレのように、継ぎ足しで熟成していった逸品だ。最初にまろやかさが口に広がり、後からピリリと舌に刺す感覚がたまらない。

　料理も経営もすべてゼロからスタートした『RESTART』。忙しいけれど、自分らしく楽しく生きられるな、と実感するという嶋田さん。メニュー表に記した文にはその思いがあふれている。「つまずきころんだらしつこく何度でも起き上がり何度でもRESTART（再始動・再出発）していけばいいやん！」。

　ん～泣けますね。店主の想いが随所にあふれた『RESTART』。料理の美味しさは間違いないが、なにかモヤモヤする人は嶋田さんに会いにいったらどうだろう。横のつながりが絶大的な佐賀でこの、『クチコミグルメ』もコツコツ続け今回101回目。まさに“RESTART”かもしれない。

DATA

■住所 佐賀市神園5-4-9-2 MAP
■TEL 0952-60-1668
■営業時間 昼11:30～13:30OS 14:00閉店／夜18:00～21:30OS 22:00閉店
■店休日 水曜
■駐車場 あり
■席数 30席（カウンター・テーブル）
■カード使用 不可
■喫煙 不可
■Menu 【ランチ】
■自家製カレー850円　■温玉チーズ焼カレー　1,100円　■ハンバーグカレー（チーズ＋100円）1,300円　■エビ・イカ・キノコのシーフードカレー　1,400円　■ゴマダレポークのシシリアンライス1,000円　■豆とアボカドのポークタコライス1,200円　■エビとキノコのクリームリゾット1,200円　■餡かけ和風オムライス　1,000円　■タルタルチキン南蛮1,200円　■鯖の塩焼き　1,000円　■ステーキ丼　ほか
【一品もの】
■スペアリブ900円　■手羽中唐揚げ750円
ほかサラダ＆カルパッチョ、揚げ物、パスタ、タコス、お米料理　多数
【デザート】
■アイスクリーム（ベリーソース／キャラメルソース／宇治抹茶ソース）300円
【ドリンク】
■サッポロエビス生500円　■各焼酎400円～　■カクテル・果実酒・日本酒（東一、天山）・ワイン・ハイボール450円　■ノンアルコールカクテル350円　■ソフトドリンク300円

取材：森泉敦子