2015年12月31日
Vol.57 居酒屋「いざかや飛鳥」
お好み焼きをA級グルメに昇華
和職人が生み出す居酒屋超えメニュー
コテを入れればサクッ。口に入れればフワッフワ。舌の上でとろけるように喉の奥へ消えていく…軽い!これが関西風お好み焼き?「うちの一家が奈良出身で。だから店名も飛鳥なんですよ」。1976年、店の誕生と共に生まれた二代目・吉田智和さん。
奈良でニット工場を営んでいた祖父が、佐賀杵島炭鉱なき後、大町町の企業誘致活動に目をつけ、一家で移住。70年代のオイルショックで自社工場も大手に吸収された。「何か新しいことをやらな」。奈良生まれの先代は、佐賀で結婚した妻を連れて大阪の有名鉄板店「一富士」で修業。後に佐賀では珍しい鉄板焼専門店をオープンした。
「粉ものは好かんやったでけど、うちんと食べて好きになった」と語る智和さんは、千葉のホテルニューオータニで技術を磨いた、生粋の和懐石職人。活魚を提供したいと、5年前、今の居酒屋スタイルに変化した。1日かけて味を染み込ませたカンパチのアラ炊きを少しいただいたが、上品!まろやかで味にトゲがない。和をベースに展開するメニューの数々は、すべてが優しくホッとする味ばかりだ。利尻昆布に花鰹、イリコでとった出汁に、数種のソースをブレンドした飛鳥特製ソースがお好み焼きの味の決め手。「粉は生き物」と厳重に温度管理して保存している。粉特有の重さ、パサパサ感が全くなく、酒の席でもペロッと1枚たいらげる女性も多い。揚げてない豚カツ「とんこ焼き(500円)」など、焼き物メニューは40年前から不動だ。唐津から随時活魚を仕入れ、店には生け簀も。魚の美味しさにも定評がある。「大根のけんを食べてみてください。脇役がしっかりしているからこそ、主役の刺身が活きるんです」。料理に合わせた日本酒もアドバイスする。
一族全員が商売人。数々の店舗を手がけた先代の父も、たまに厨房に立つ。店内に流れる懐かしのオールディーズも、味のわかる客層に向けた演出だ。居酒屋だからこそ気軽に飲食を楽しめるが、その味は居酒屋のクオリティーを超えているんじゃないかなあ。
DATA
■住所 佐賀市愛敬町4-1 MAP
■TEL 0952-29-1895
■営業時間 月・水・木曜18:00~翌2:00OS/金・土曜18:00~翌3:30OS/日・祝日18:00~翌0:30OS
■店休日 火曜
■席 約60席(カウンター、掘りごたつ席・個室あり)
■カード使用 不可
■駐車場 5台(場所はお問い合わせください)
■喫煙 可
■Menu さばしゃぶ鍋5,000円(要予約)、黒豚しゃぶしゃぶ2,000円、ジンギスカン鍋1,100円、ハリハリ鶏鍋・豚鍋1,400円、アジの活き造り1,100円、刺身ちょこっと盛1,000円、自家製シューマイ(3個)750円、イカの一夜干し1,400円~、鉄板串焼き盛り800円、串焼き各種(自家製シューマイ、椎茸ミンチ、ピーマンミンチなど90円~160円)、オムソバ800円、オリジナルオムレツ650円、日本酒一合540円~ほか
「居酒屋 わらべ」Vol.120
「あぶり家 壱町(いっちょう)」Vol.119
「蛮屋~BANYA~」Vol.118
「洋風バル サガんチーノ」Vol.112
「レストランバー かんじんかなめ」Vol.109