佐賀クチコミグルメ

2021年04月01日

「料庵 川松」Vol.114

佐賀の歴史に思いを馳せ
本格和食とおしゃべりを満喫

『えびす御膳』1,100円
 佐賀市の中心部、佐賀藩祖・鍋島直茂を祭る松原神社の東側に伸びる参道『新馬場通り』は、明治時代、門前町として栄えたエリアだ。松原神社は人々から日峯さんの愛称で親しまれ、通りの両脇には旅館や料亭、芝居小屋などが立ち並び、昭和30~40年代には佐賀一の繁華街として大いににぎわったという。
 その名残をとどめる元『旅館 松川屋』の向かいにある『料庵 川松』を切り盛りするのは、新馬場通りで育った川松範子さん、祐子さん姉妹だ。範子さん、祐子さんは2005年に結成された「佐賀ん町屋ば甦らす会」のメンバーでずっと通りの活性化に取り組んできた。2007年に縁あって、明治初期に建てられた旧旅館を5カ月かけて改築し、『料庵 川松』をオープン。姉妹は祖母の代から60年間続く、質屋『新古賀』を通りで営んでいたが、飲食業は初めて。不安も多かったが町を盛り上げたいという一心だったという。

『あらだき御膳』1,100円
 料理は板前がつくる本格和食。名物は街のあちこちに祭られている恵比須像にちなんだ、『えびす御膳』だ。少しずつ美味しいものを食べられるミニ懐石で、出汁のきいたやさしい味わいは特に女性客からの支持が厚い。
 活〆の鯛の刺身は弾力があり、コリコリとした食感で、今まで刺身が苦手だった客も喜んで食べるようになったそうだ。煮物鉢も各素材の味を生かすべく別々に炊き、盛り付けた炊き合わせで、とにかく手間と時間がかかっている。たった3センチ角の卵焼き一口で幸せ感を味わえる経験はそうそうない。
 魚料理にも定評があり、たっぷりの汁でコトコト煮込んだ、鯛のあら炊きは、身がホロホロとほどけ、薄味が身体にやさしく染みていく。骨までしゃぶる客もいるという話には、共感するしかない。

店内
 料亭クラスのリーズナブルな御膳に加え、評判なのが、範子さん、祐子さんとのおしゃべりだ。明るい姉妹のもとには一人暮らしの年輩客もよく訪れ、昔話に花が咲く。「身体も心も元気になって、笑顔で店を後にするお客様と接するのがやりがい」と声をそろえる仲良し姉妹。佐賀の知られざる歴史と魅力を知り、元気と癒しをもらえたひと時だった。


店内店内
店内店内

DATA


■住所 佐賀市松原3-3-31 MAP
■営業時間 昼11:30~14:00(OS)、夜はご予約のみ
■TEL 0952-27-3268
■店休日 火曜・木曜
■駐車場 あり ※隣の「新古賀駐車場」をご利用ください
■席数 テーブル4~5名がけ3席、カウンター5席 ※2階の個室は2名から予約、昼(御膳)は1,650円、懐石は3,300円のお料理から、団体20名
■カード使用 不可
■喫煙 不可 ※外に喫煙スペースあり
■Menu
【お昼の御膳】
小えびす御膳880円、かぶと御膳950円(数量限定)、あらだき御膳1,100円、えびす御膳1,100円、かるかん御膳1,650円、しんばば御膳2,200円、季節のかいせき御膳2,800円、白ごはんのおかわり100円

【季節のおまかせ懐石コース】
3,300円コース(全11品)、4,000円コース(全12品) ※ランチタイムはコーヒー付き

※テイクアウトメニューあり

外観外観

時を忘れて板前の味をじっくり楽しんで☆

取材:森泉敦子




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