佐賀クチコミグルメ

2021年09月08日

「季節料理 魚喜」Vol.117

神埼の町に息づく100年の味
本場の旬を自由に楽しむ喜び

『松華堂弁当』2,500円
 佐賀市内から車で約20分、あたり一面佐賀平野が広がる神埼市の千代田町に創業101年を迎える料亭がある。『季節料理 魚喜』では、有明海名物のえつをはじめ、下関のふぐ、築地のまぐろ、北海道のカニなど全国から取り寄せた選りすぐりの旬の魚が並ぶ。

あらだき
 100年も続く料亭とは、と少し緊張していると、モダンな日本家屋の店内から人懐っこい笑顔の3代目・永原則昭さんが現れた。永原さんの祖父にあたる初代・喜六さんが、魚卸業を始めた大正9(1920)年頃は、町中を流れる筑後川の支流で運送業が盛んだったという千代田地区。川沿いには商家が約1㎞に渡って並び、船宿や料亭なども多くあったという。やがて仕出し屋メインの小さな割烹料理屋をつくり、芸妓さんが座席を盛り上げた時期もあった。まさに栄華を極めた千代田地区だが、時代の流れにより昭和40年代にはすっかり衰退してしまったそうだ。

食後のコーヒーとアイスクリーム
 「この100年間、続いたのは僕が一度ぶち壊したけん」と笑う永原さんは平成2年(1990年)に3代目就任。大阪の調理師専門学校時代は“よく遊び、よく学べ”を地で行った。全国を周って目と舌を肥やし、帰郷後、料亭で住み込みの厳しい修行を積んだ。就任時には「時代に取り残されちゃいかん」と、仕出し屋ののれんをはずし、店を大幅増設、大々的に料亭として店を構えた。祖父、父が築いてきた店とは趣の異なる店に生まれ変わらせ、流行の創作料理にもチャレンジ。どんどんアイデアを形にしたところ、女性客を主に話題を呼び、全国から客が訪れた。結果、売り上げ1億円が13年間も続いたという。

えつんこ南蛮漬け
 今でも自ら全国を飛び回り仕入れ、調理、経営を一挙に担う。「地元やけんってこだわりはなく、僕はただ味づくりと喜びづくりをしたいだけ。それは祖父の代から変わっとらんね」。豪快な語り、行動とは対照的にその料理はとても繊細だ。永原さんの楽しいおしゃべりも大きな魅力となっている。「スタイルや味は料亭やけど、基本は自由やけん、気軽に日本料理を楽しんでほしかね」。料亭の枠を超えた老舗の挑戦は、コロナ禍にも負けず続く。


店内店内
店内店内

DATA


■住所 神埼市千代田町渡瀬2212-3 MAP
■営業時間 11:00~22:00(ランチ11:00~15:00) ※前日まで要電話予約
■TEL 0952-44-2142
■店休日 不定休
■駐車場 あり(30台)
■席数 60席(2021 9月現在/本来総席数は120席・個室6)
■カード使用
■喫煙 外に喫煙スペースあり
■Menu
【ランチ】
ふぐ定食・松華堂弁当・麺懐石(コーヒー・アイスクリーム付き) 各2,500円
カレーランチ(サラダ・コーヒー付き)1,000円

【季節のコース料理】
佐賀牛・イカの活き造り・竹崎ガニ・えつ・有明海海産物・ふぐ などコース料理5,000円~

【テイクアウト】
九州産黒毛和牛しゃぶ(1人前125g)2,500円
季節のお弁当各種1,600円~
次郎っ子カレー(板前のまかないカレー)4人前900g1,500円・7人前1500g2,200円
ほか ※価格は税込

外観外観

日本全国の美味しい味がそろってます☆

HP: http://kisetsu-uoki.jp/

取材:森泉敦子




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