家で食べられない繊細さに出合える、
だしの存在感を満喫できる新・隠れ家

　ネットにも情報なし、まるっきり口コミにて訪ね、「こんな素敵な空間がココに!?」と驚く店が佐賀には多い。かつてはアーケード商店街として栄えた白山名店街跡。屋根がなくなって抜けるような青空が広がり、広い道沿いには青々と街路樹が茂っている。まるでヨーロッパの街の一角のような場所に店はある。

　包丁を握るのは和食一筋、オーナーシェフの前田浩介さん。長崎の大手ホテルで料理人を務め、佐賀駅近くの居酒屋を経て、2013年に自分の店をオープン。和食ブームに乗じて多くの店が登場している昨今、店名の「和処・基本だし」について尋ねると、「和食にこだわっているわけでもないです。基本、自分が美味しいと思ったものだけを、心を込めてお客様にお出ししているだけ」との答え。

　出汁は国産のかつおとこんぶを使って丁寧に時間をかけてとる。ほんのちょっとの温度や湿度の差によって出汁の味は変化するので、その日の食材のコンディションと共に配合を決めて行く。完成形として、いかにブレのない料理に仕上げるかが毎日の使命だ。食材は、基本味見をして決める。毎朝、野菜を触ることから前田さんの料理はスタートする。

　一番人気の「だし巻きたまご」（400円）を巻いてもらった。口の中でフワッフワと広がる食感と、スーッと胃に染みていく優しい出汁の味わいに、ほわ～っと思わず顏がにんまり。一瞬で幸せな気分を味わえる、だし巻きたまごの存在感に久しぶりに感動。ほかに「茶碗蒸し」（400円）など、出汁のきいた一品をリーズナブルに楽しめるのも嬉しい。

　女性客が多く、一度来店したらほとんど確率でリピーターになるそう。和食のイメージが自然に解けていき、オシャレな空間で新しい美味しさに改めて出合えるひと時だった。

DATA

■住所 佐賀市呉服元町5-15 MAP
■TEL 0952-25-1233
■営業時間 17:30～22:30OS
■店休日 日・祝
■席 カウンター、テーブル、個室（8席）あり
■カード使用 可
■駐車場 3台
■喫煙 可
■Menu 揚げだし豆腐600円、野菜の炊き合わせ750円、真鯛の骨蒸し950円、ソラマメしんじょうみぞれ餡かけ850円、真鯛と明太子チーズ春巻き800円 、和牛ローストビーフ1,200円、お寿司盛り合わせ1,000円、有明のりおにぎり（2つ）400円、鶏と木の子の五島うどん650円、ぷりぷりエビマヨ780円、つぼ鯛塩焼き750円、豆腐とトマトの梅サラダ700円、珍味三種盛り800円、日本酒800円～　ほか