2015年10月31日
Vol.55 パン屋「銀杏」
パンだけじゃなく、元気も届けます!
陶都・有田のパワーの源“町のパン屋さん”。
有田町へ訪れる途中には、どこかに時空を超える関所がある。高い山々に囲まれた深い谷あいの町、通りの両端には窯元が軒を連ね、その光景は400年前から変わらない。タイムスリップしたようなひっそりとした町の少しはずれに、唯一のパン屋さんがある。樹齢千年を超えるイチョウの大木、大公孫樹のそばに佇む、その名も「銀杏」。
小さな引き戸をガラリと開けるとほわんと広がる焼きたてパンの香り。静けさを伴う町の雰囲気と一転、「わあ、いらっしゃい!!」明るい声が響く。薄紫のカーリーヘアにバンダナがトレードマークの北村隆子さんだ。
元々赤絵屋。家業を手伝いながら今は亡きご主人の趣味仲間を招き、定期的に旬の食材を使って得意の料理を振る舞った。「美しい有田焼の器に新しい食…大好きなパンを盛り付け皆を喜ばせたい」。思い立ったら即行動、パン教室に通い気付いたらパン屋になっていたのは10年前。当初看板もなく、絵付け作業スペースの端でつくっていたが、北村さんのパンはどんどん口コミで評判を呼んでゆく。
朝5時起床、数十種類のパンを仕込み、3台のオーブンできっかり11時に全て焼き上げる。無添加でクリームやあんこなども皆手作り。昔お母さんが焼いてくれたような優しい味わいのパンは、定番以外は客のリクエストによるほぼオーダーメイドという柔軟さ。
「銀杏のパンしか食べられない」と小さな子どもや授乳中のママたち、お年寄りなど来店が難しいファンが多い。直径約70cmのザル3つに客好みのパンを並べ、個人宅、学校など日々忙しく車を走らせる。顧客には何と103歳の女性も。配達日にはシャンと身づくろいをして心待ちにしているんだとか。「出会いやお喋りが大好き。お客様には元気をもらうんですよ」。なんて素敵な相思相愛!
地元ならではの最新情報も気軽に教えてくれる町の発信基地でもある。焼き物はハードルが高く“有田土産には銀杏パン”が増えている理由はわかる。山を越え帰宅する頃にはすっかり現実世界に戻っていたが、北村さんのパワーと美味しいパンで長いドライブ疲れもすっかりチャージされていた。
DATA
■住所 佐賀県西松浦郡有田町泉山1-29-12 MAP
■TEL 0955-42-2039
■営業時間 9:00~15:00
■店休日 水・土・日曜・祝日
■カード使用 不可
■駐車場 なし(近隣に公設の無料駐車場あり)
■Menu メロンパン、クリームパン、チーズパン各150円、バケット250円、ライ麦ぶどうパン300円、いちぢくくるみパン300円、パウンドケーキ各種170円 ほか
「MOMs’Bagel」Vol.110
Vol.53 パン屋「パン にしむら」
Vol.48 パン屋「うちのふうど」
Vol.30 パン屋 「天然酵母 パン屋 そら豆」